発祥の地bannar
高熱温泉発祥之地
 [こうねつおんせんはっしょうのち]


場所
山梨県笛吹市石和町八田
コメント
JR中央本線の石和温泉駅から 東に800m。
ホテル新光の駐車場北側にある道路を入った空き地。木立の中に隠れるように, 達筆な崩し字で「高熱温泉発祥之地」と書かれた石碑が建っている。

温泉は 一般に水温によって 4つに分類されている。
  25度未満   冷鉱泉
  25〜34度   微温泉
  34〜42度   温泉
  42度以上   高温泉
つまり “高温泉”は 源泉そのままで,加熱しないで 入浴に供することのできる温度の温泉である。
“高熱温泉”という言葉は定義がはっきりしないが,おそらく“高温泉”のことか,それに近い意味で 使われているだろうと思われる。

石和温泉といえば 古い由緒ある温泉地と思われがちだが,ボーリングにより最初に温泉を掘り当てたのは 1961(昭和36)年のことで,まだ50年足らずの歴史しかない。
当時ブドウ畑だったこの地に,山梨交通が保養所を建てる目的で 温泉の掘削を試みたところ, 高温の温泉が大量に湧出したという。ちなみに 泉温はおよそ60℃。
東京から 列車で2時間足らずという近さのため 急速に発展し, 熱海に次ぐとも言われる規模の温泉街・歓楽街が造られた。

なお,「高熱温泉」の発祥の地といっても “日本で最初の高熱温泉”という意味ではない。 たとえば 奈良時代以前から温泉として利用されていた兵庫県の有馬温泉は,最高泉温98℃である。
このあいまいな名前のために,せっかく造られた発祥碑は 温泉地の観光資源にもならず, 今では地元でもほとんど忘れ去られた存在となっている様子。 すなおに「石和温泉発祥の地」としておけばよかったのに と惜しまれる。

撮影日
2009年6月 (写真提供 T.H.さん)
碑文
高熱温泉発祥之地
     山梨県知事 天野久 書

   此ノ地旧笛吹川廃河川敷南ニ富岳ヲ
   仰ギ西ニ白根ノ銀嶺ヲ望ム眺望頗ル
   佳ナリ石和郵便局長五味松蔵氏其ノ
   境地ヲ卜シテ山梨交通健康保険組合
   保養所ヲ誘致シ組合ハ高熱温泉ノ発
   掘ヲ計画シ松本鑿掘株式会社々長高
   橋作人氏ニ委嘱シテ昭和三十六年一
   月十五日逐ニ高熱泉ヲ発見湧出ニ成
   功セリ今日石和温泉郷開発々展ノ濫
   觴トシテ高熱温泉発掘ノ嚆矢タリ茲
   ニ吾等相謀リ温泉湧出発祥ノ霊域ニ
   碑ヲ建テ以テ後代ニ伝ヘントス即チ
   其ノ梗概ヲ叙ス
      昭和三十八年四月 八田政恕誌
       発起人
        山梨交通株式会社健康保険組合
        松本鑿掘株式会社
        笹一酒造株式会社
           (以下個人名省略)


 
高熱温泉発祥之地碑 空き地の向こう,木立の中に発祥碑
高熱温泉発祥之地 碑
空き地の向こう,木立の中に発祥碑