2000-07-03 「五色不動」のコメントページを追加しました |
東京のJR環状線・山手線には "目黒" "目白" の駅名がある。
目黒は「目黒区」という区名にもなっているメジャーな地名で,
目黒不動というものがある。目黒にある不動尊だから"目黒不動"
なのだろうと理解していた。
目白は 学習院大学がある場所で, 目黒と対になった面白い地名で,
鳥の"メジロ"と関係があるのかと思ったりしていた。
以前 あるミステリ小説で,“目黒不動”“目白不動”という名前が
登場するのを読んで 初めて, 目白という地名は やはり不動尊と関係が
あることを知った。
ところが この本には“目赤不動”とか“目青不動”などの名前が
出てきて,「いくらフィクションとはいっても 目赤・目青とは
出来すぎている」と思って読み飛ばしていた。
ところが最近になって“目赤不動”というのが実在することを知った。 あらためて調べてみると, 東京には 目黒・目白・目赤・目青・目黄 という5つの 色の名がついた不動尊があることがわかった。 これらを総称して 「東京五色不動」とか「江戸五色不動」などと 呼ばれるという。え〜? まさか!! 冗談じゃないの? という思いである。
五色不動の起源は, 徳川3代将軍・家光が 江戸を守るために置いたのだ そうである。江戸府内の名のある不動尊を指定して 天下泰平を祈願したと言われる。 青・白・赤・黒・黄の五色は その順に, 東・西・南・北・中央を表す。 このような考え方は 古い陰陽五行説によるもののようで, 世の中のすべての物は 木・火・土・金・水の五つの要素から成る と考えるのと同じもので, 物忌みとか 方違え などの習慣も ここから出ている。
五色不動は, 江戸城を中心にして その周囲を五体の不動尊が守る
という形をとっている...はずなのだが, 実際の五色不動の位置を
地図上にプロットしてみると, 名前の通りに東西南北に配置されている
わけではない。
それぞれの寺は 江戸時代からの長い間に, 吸収合併?があったり
転々と場所を変えたりしているために 方角がかわっていることもある
のだろうが, そもそも最初から 色と方角の関係をあまり重要視しなかった
と考えた方がいいのかもしれない。
"目黄不動"は, 台東区の三ノ輪と 江戸川区の平井という所の2ヶ所にある。
徳川家光が最初から2ヶ所に 目黄不動を作ったとは思えないので,
いつの時代にか 本家争いをやって それぞれが「目黄」を名乗ったのかもしれない。
さらにこの他にも 渋谷には「龍厳寺」という寺が“目黄不動”を名乗っている
とも聞くが, この手の話を追求していくときりがないので,
あまり気を使わないことにする。
こういう面白いものには目がない私なので, 早速 全部のお不動さんを
見てまわった。
ところで, 目赤不動とか 目青不動などというと 目玉が赤かったり青かったり
するかと思ったのだが, これらの色は 密教で重んじられた青・白・赤・黒・黄の
五色を不動明王にあてはめたものなので,
実際に不動尊の目が五色をしているわけではないらしい。
実際にそれぞれの不動尊で確認しようと思ったが,
暗いお堂の奥に鎮座するお不動さんの目の色までは 確認できなかった。
残念。
目黒不動 | [山号寺号] 泰叡山 龍泉寺 (天台宗) |
[所在地] 東京都目黒区下目黒3-20-26 | |
[アクセス] 東急目蒲線『不動前駅』より徒歩10分 |
目黒不動 下目黒3-20-26
天台宗で泰叡山(たいえいざん)滝泉寺といい, 大同3年(808)に慈覚大師が開創
したといわれています。徳川3代将軍家光が堂塔伽藍を造営し, それ以来幕府の
保護があつく, 江戸近郊におけるもっとも有名な参拝行楽の場所となって, 明治
まで繁栄をきわめました。 |
小高い丘の上にあり, 大変立派な建物。 |
目青不動 | [山号寺号] 竹園山 教学院最勝寺 (天台宗) |
[所在地] 東京都世田谷区太子堂4-15-1 | |
[アクセス] 東急新玉川線『三軒茶屋駅』より徒歩5分 |
竹園山 最勝寺 教学院 (天台宗)
本寺は慶長9年(1604)玄応和尚の
開基により, 江戸城内紅葉山に建てら
れたという。明治41年(1908)
青山からこの地にうつされた。
昭和51年3月 |
こじんまりした建物ながら 落ち着いた雰囲気 | 周囲には 色とりどりの千羽鶴などが飾られている |
目白不動 | [山号寺号] 神霊山 金乗寺 (真言宗) |
[所在地] 東京都豊島区高田2丁目 | |
[アクセス] 都電荒川線『学習院下駅』より徒歩5分 |
目白不動 金乗院
金乗院は〓((この部分 なぜか貼り紙で隠してあり, 読み取れず))〓
開山の永順が本尊の聖観音
を勧請して観音堂を築いたのが草創とされ, 永順の死は文
禄3年(1594)6月であるからそれ以前の創建である。
当所は蓮花山金乗院といい中野法仙寺の末寺であったが後
に, 神霊山金乗院と改め護国寺の末寺となった。 |
目赤不動 | [山号寺号] 大聖山 南谷寺 (天台宗) |
[所在地] 東京都文京区本駒込1-20-20 | |
[アクセス] 地下鉄南北線『本駒込駅』より徒歩2分 |
江戸五色不動の一つ 目赤不動尊
この不動尊は, もとは赤目不動尊と言われていた。元和年間(1615〜24)
万行和尚が, 伊勢国(いまの三重県)の赤目山で, 黄金造りの小さな不動明
王像を授けられ, 諸国をめぐり, いまの動坂に庵を結んだ。 |
こじんまりした建物 | 不動堂前には狛犬がいる。 狛犬というのは 神社に置かれるものだが... |
目黄不動(1) | [山号寺号] 養光山 永久寺 (天台宗) |
[所在地] 東京都台東区三ノ輪2-14-5 | |
[アクセス] 地下鉄日比谷線『三ノ輪駅』より徒歩2分 |
目黄不動(めきふどう) 台東区三ノ輪2丁目14番5号 永久寺
目黄不動は, 江戸五色不動の一つとして知られている。江
戸五色不動とは, 目白・目赤・目黒・目青・目黄の各不動尊の
ことで, 寛永年間(1624-43)の中頃, 徳川三代将軍家
光が寛永寺創建で知られる天海大僧正の具申により, 江戸
府内の名ある不動尊を指定したと伝える。
平成10年3月 |
狭い境内に 古びた本堂と不動堂が並ぶ | この寺には千社札が無秩序に貼られている |
目黄不動(2) | [山号寺号] 牛宝山 最勝寺 (天台宗) |
[所在地] 東京都江戸川区平井1-25-32 | |
[アクセス] JR総武線『平井駅』より徒歩20分 |
史跡 最勝寺 (目黄不動)
天台宗に属し, 牛宝山(ごほうさん)明王院と号して大
正2年(1913)本所(墨田区)表町から
現在地に移転した。開山は貞観2年(860)
で, 慈覚大師の建立である。
昭和52年3月 |
積み上げられた石には 江戸時代の年号の字が見える。 |