2000.8.27 「ほおずき」のコメントページを追加しました |
7月9日の日曜日。正午のTVニュースで, 浅草のほおずき市を紹介していた。
へえ, 面白そうだ。 というわけで 突然思い立って出かけてみた。
最近は行動に計画性がなく, 当日になって 衝動的に出かけるパターンが増えてきた。
ほおずきというと 子どもの頃の懐かしい記憶がある。
赤く熟して 少し柔らかくなった実をよく揉んで 中の種子を出し,
残った袋を口に入れて ギューギューというかブーブーというような
音を鳴らして遊んだものだ。
種を揉み出すのに失敗すると 袋が破れてしまう。
仲間の中で いかに早く完全な袋を作れるかが競争だった。
種が口に入ると苦くて 思わずペッペッと吐き出してしまう ...
当時住んでいた 田舎の情景が目に浮かんでくる。
今の子ども達は "ほおずき"という単語すら ほとんど知らないのではないだろうか。 説明をしてみても 「そんなことして 何が楽しいの?」 というような反論を受けそうな気がする。
かなりの人出で賑わっていて, 仲見世通りは 立ち止まって
写真を撮るのもはばかられる。
浅草寺境内の宝蔵門のあたりから先は よしず張りのほおずきの露店が
ぎっしりと軒を並べている。
聞くところでは ほおずきの店だけで 200軒以上出ているそうで,
その他の露店も含めると 300-400軒にもなるという。
ほおずきは どの店でも皆 同じ大きさの鉢で, 風鈴を1個つけて
2,500円の"協定価格"で売られている。
「こんな鉢, 近所の花屋で 1,000円位で買えるよ」という声も聞かれたが,
「浅草寺でお払いしてもらったものなので そこらの花屋の鉢物とはワケが違う」
のだとか。
高いなぁ と思いつつ, せっかくここまで来て
手ぶらで買えるのもシャクなので, 一鉢購入。
それにしても 全部でおそらく1万鉢を超える(?)かもしれない数のほおずきが,
7月9日と10日の2日間で売られてしまうというのは 驚きである。
天気の悪い日などは 売れ残ってしまうのではないかと思ったら,
やはりそうだそうで, 浅草近辺に住む人の話では, 売れ残る年は
最後に 一鉢500円ぐらいで投げ売りしていることもあれば,
人出の多い年は 2日目の夕方に行くと どの店も品切れで
手に入らないこともあるそうだ。
ほおずきは 以前は東京の江戸川区あたりで栽培されていたそうだが,
今は 茨城県の三和町(古河市や下館市の近く)という所が
主産地になっているとか。
ほおずき市は 浅草だけでなく 各地で開かれているようで,
関東地方だと 東京の港区(愛宕山)・新宿区(神楽坂)・青梅市・八王子市
などで, 6月下旬から7月中旬にかけて ほおずき市が開かれている。
ところで, 浅草で買ったほおずきを入れてくれた袋に「四万六千日」と
書かれていた。これは何だろうと思ったら, ほおずき市の開かれる
7月9・10日は "四万六千日"(しまんろくせんにち)と呼ばれる
浅草寺の縁日で, この日に合わせて ほおずき市が開かれる ということがわかった。
仏教では 観音さんは18日とか お地蔵さんは24日などといった
いろいろな縁日(功徳日)があり, この日にお参りをすると 千日分のゴリヤクが
あるとされたり(千日詣)する 特別な日とされているそうだ。
浅草寺では 江戸時代から この日にお参りすると
四万六千日お参りしたのに相当するご利益があるといわれ, 盛んになったという。
四万六千という数字の根拠は あまり明確ではないが,
「"しろくじ中(一日中)"という単語の元になっている"四六時"の
1000日分が 46,000 なのでこの名前がついた」という説をはじめ
諸説あるらしいが, 「"白髪三千丈"と同じく 単に"たくさん"の意味しかない」
というのが本当のところかもしれない。
広辞苑には 下のように書かれているが,
「酸漿」や「鬼灯」などの漢字は当て字だろうから これはあまり参考にはならない。
旧カナで"ホホヅキ"と書きながら
読みを"ほおずき"としているのは 何となく奇妙である。
もし語源が本当に「頬付」だとすると "ほおづき" が正解なのではないだろうか。
どうでもいいようなものだが, ちょっぴり気になる。
ちなみに英語では ほおずきのことを
Japanese lantern plant
というそうだ。