2002.03.10 「雪だるま」のコメントページを追加しました |
今年は暖冬のせいか, 横浜では 雪らしい雪は ほとんど降らなかった。
以前は 玄関から数メートル先の門まで行くのに “遭難しそうだ” と
冗談を言いたくなるほど 積もることもあったのだが,
そういうことも ここ数年 なくなってしまったような気がする。
しかし, 雪のない地域での積雪は, 少なくとも 子どもにとっては
大きな楽しみになる。
右の写真は もう20年以上も前のものだが,
わが家の狭いベランダの雪で作った 雪だるま。
まだ小さかった 子どもたちの作品である。
日本各地に, 数多くの「雪をテーマにしたイベント」がある。
雪国では 雪はやっかいもの。それを逆手にとって, 雪を楽しんでしまおう
というイベントである。
たとえば,
そういう雪のイベントの一つに, 石川県白峰村の“雪だるままつり”
というのがある。
数年前から, 是非一度行ってみたいと狙っていたのだが,
冬の一番寒い時期に わざわざ雪国に行くのをためらっていた。
今年は チャンスがあったので, 思い切って このイベントに出かけてみた。
1月26日。暖かく小雨がパラパラと降る金沢だった。
その数日前は大雪だったとのことだったが, 金沢にはほとんど雪がない。
わずかに歩道の隅に残った雪が 踏み固められて
滑りやすくなっていたので, 「気を付けなくては...」と思いつつ,
ふと他に気を取られた瞬間, スッテ〜ン と転んでしまった。
金沢到着早々 とんでもないアクシデント。手をすりむいた程度の怪我で済んのは
幸いだったが, 私にとって 命の次に大事な カメラが壊れてしまい, 大ピンチ。
カメラがなくては 何のために金沢までやってきたのか わからなくなってしまう。
このあと 急遽デジカメを購入すべく, 金沢市内を走り回り,
涙ぐましい努力をしたのだが, 話がそれるので この話は省略。
白峰村というのは, 石川県の南端に位置して 福井県と接し, 日本三名山の一つ
白山 への入口になっている。(左地図参照。より詳しい地図=白峰村役場の位置=は
こちら)
村の観光資源は 温泉とスキー場, それに 白山を見上げる
大自然 といったところか。
「白山恐竜パーク」というのもある。国の天然記念物になっている
ジュラ紀の地層壁があって, ここで 日本最古の恐竜の歯の化石が発見された
という。
この辺りは 標高600〜700mぐらいで, 冬の積雪量は3mにも達する
全国的にも指折りの豪雪地帯。
したがって昔から 冬の生活は 雪との戦いだった。
しかし 最近は道路が整備され
日常生活で 雪は昔ほど「やっかいなもの」ではなくなった。
むしろ 雪を「資源」として利用しようという 新しい発想が生まれ,
10年ほど前から「雪だるまウィーク」というイベントが行われるようになった。
村の住民総参加で行われている大イベントである。
このイベントで作られる雪だるまは 10年前には 1,500個ぐらい,
最近では 2,000個を超える数が作られるという。
村の人口は およそ 1,200人だから 1人1個より かなり多い。
今では石川県を代表する冬のイベントとして定着している。
余談だが, 札幌の雪まつりに際しては, 「1万個の雪だるまを作ろう」という運動が
行われたそうだが, 実際に作られたのは 5,000個程度だったそうだ。
また 日本一大きい雪だるまを作った 黒石市でも, 「1人1個の雪だるま作り」運動が行われ,
4万個の雪だるまが作られたそうだ。しかし 黒石の人口は 約4万人だから, 人口比でいったら
白峰の方がずっと多いことになる。
“白峰雪だるままつり” に行くバスは, 金沢駅を 午後3時に出発。
白峰までは 1時間半ほどの道のり とのことなので, 明るいうちに着いて
写真を撮り, 夕方になれば それぞれの雪だるまにローソクの火が入り
ぼんやりと照らし出された雪だるまの写真も撮れる ...
なかなか良い 時間配分だと思われた。
ところがドッコイ。そううまく問屋はおろしてくれなかった。
何しろ 山の中の一本道のこと。白峰村としては 一年で最大のイベントが
行われるわけで, 車が集中して 大渋滞。半分も行かないうちに ノロノロ運転となり,
ようやく白峰に到着したのは 夜7時近く。
2時間遅れの到着で 日もトップリ暮れて 真っ暗闇。
雪の壁に彫られ ぼんやりと照明に照らされた「白峰」という文字が
我々を迎えてくれた。
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小型のものなど 一部を除いて ほとんどの雪だるまは, 真中に孔を開けて ローソクを入れ,
ユラユラと明かりが揺れている。幻想的。すばらしいアイデア。
「雪だるまライトアップ作戦」と呼ばれているそうな。
ローソクは4時間ぐらい燃え続けるので, ライトアップは
9時近くまで 続く。
また 「楽しみながら雪だるまを見てもらうため」に, “食のオリエンテーリング”と題して 村内各所に白峰村の特産品 (ぼたもち, とりもちぜんざい・くずし汁・こんまき・かっちり・くりごはん など) を中心とした飲食コーナーが設置されている。 しかし 残念ながら, これらは人だかりが多過ぎて 私には近寄ることもできない。
雪だるまは オーソドックスな だんごを2つ重ねたもの,
それに帽子をかぶせたもの
マンガのキャラクターを表現したもの
うさぎや馬などの動物
かまくら風に作った雪の洞穴に収められただるま
などなど, 色々な形を競っている。ユニークなものも多く 実に楽しい。
雪だるまの数も多いが, 見物人の数も 予想以上に多くて 驚かされた。
われわれの乗ったバスは 全部で3台。あとはすべて自家用車らしい。
これでは道路が渋滞になるのは当然か。
観光客は大勢来ているのだが, ただ雪だるまを見て歩くだけなので,
地元には それほど金が落ちるとは思えない。住民手作りのイベントだから
準備の費用はそれほど大きくはないかもしれないが, それでも
収支決算は かなりの赤字なのではあるまいか。
しかし 白峰村を広くPRできるという 間接的な効果は絶大だと思う。
村の人が総出で 雪だるまを作っている風景を想像すると ほのぼのと
楽しくなる。
私もすっかり 白峰ファンになってしまった。
午後8時を過ぎて ようやく人の数が減りはじめた。
雨に降られ, ローソクで暖められた雪だるまは 融けはじめて,
腹の空洞は大きく広がり, 中には 目鼻がずれ落ちてしまったのも出てきた。
昨年までは, 「雪だるまウイーク」という名前で 1週間連続で行われた というが, 今年からは “桑島地区”と“白峰地区”という 2地区に分けて それぞれ1日ずつの開催となった。 その理由がわかったような気がする。 やはり 1日限りでやるのが適当なイベントのようだ。
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[参考] (来年 白峰に行ってみたい人のために)